増井千晶碧井椿
森林には、その型や発達程度にもよるが、ある程度の似かよった構造がある。これを階層構造と言う。森林を外から見たときに目につくのは、一番高いところの、枝葉の折り重なった層である。この層は、森林でもっとも多くの同化組織が集中する場であり、林冠とよばれる。この層を造る木をまとめて、高木層とよぶ。高木層の少し下には、その高さに達しない木が造る層があり、これを亜高木層と言う。この層の木は、高木層に空きができたときに、そこを埋めるように待機しているものを含む。
本州中南部の平地に見られる照葉樹林では、高木層は25m程度、亜高木層は15m程度。その下の、数m程度の高さには低木層があり、高木の苗のほかに、背が高くならない木が出現する。さらにその下には、シダ植物などがあり、草本層として区別する。さらに、地表に這うようにして存在するものを、コケ層という。
なお、森林の地表面を林床(りんしょう)という。林床に生える植物は、森林に独特のものもあるが、その森の林冠を構成する樹木の苗が出るのが普通である。これがない場合、その森林の樹木構成は、次第に変化するものと考えられる。
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日本の照葉樹林の場合、以上のように5層くらいを区別するのが普通であるが、森林の型によっては、さらにそれ以下、あるいはそれ以上を区別する。東南アジアの熱帯雨林では、高木層は50mにも達し、さらにそれを超えて伸びる超高木層の木が点々と現れる。
また、つる植物や、樹木の上に根を生やしてくっついている着生植物は、亜熱帯や熱帯に近いほどよく出現し、熱帯林では、地表の植物をしのぐほどとなる。
森林は単独の樹種のみで形成されることはごく少ない。一般に南北の寒冷な地域では構成樹種が少ないが、一般には複数の樹木から森林は構成される。ほぼ1種の樹木しか見られない場合や、中の1種のみが極めて多い場合もあり、そのような森は純林といわれる。
植生調査はこれらの森林の特徴をもとに行われる。一般にはまず層の構造を見つけ、それぞれの層ごとに、構成樹種やその数、被っている程度などを記録する。
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